~終演のご挨拶~

あやめ十八番『淡仙女』、終演して随分と時間が経ってしまいましたが、
最後にご挨拶だけ載せようと思います。

あやめ十八番・初の単独公演『淡仙女』は4月21日に、無事千秋楽を迎えることが出来ました。
ご来場頂きましたお客様、また応援して頂いた皆様方には、感謝の言葉しかありません。
本当に、ありがとうございました。

『淡仙女』は、家族と神様のお話でした。

『人間は変化が無くちゃつまらない』
うちのお父さんは、最近酔うと、必ずこう言います。

強面ですが、大人しい人で、格言めいたことなど言ったことの無い人でした。
だから、この言葉も、所謂“格言”のようなものではなくて、自分が日々そう感じていることなのでしょう。
たしかにうちのお父さんは、変化していくことに、ある種の美学を感じているようでした。

サラリーマンだったお父さんは、定年を随分先に控えて、早々にリタイアして、
義母と嫁の経営する団子屋の社長になることを決めました。
飲食店の経験はありません。最初は苦労も多かったことでしょう。
それでも、少しずつ勉強を重ね、我が家が地域の繁盛店になるよう色々な努力をしてきました。
店の内装を変え、味を変え、さまざまなチャレンジをしてきました。
もう何十年も変わっていなかった店です。変化していくには大きなエネルギーが必要だったでしょう。
時間もお金も使って、何もそこまでしなくても、というくらいに変化を求めてきました。
店は、最近少しずつ良い方向に向かって来ているそうです。
それを、お酒を飲みながら、嬉しそうに僕に語ります。
素直に、ははあ、立派だなあと思います。

僕の演劇人生にとっては、昨年旗揚げた、あやめ十八番が一番の変化でしょう。
ずっと、やりたかった、憧れて憧れてようやく挑戦できた、作・演出です。
劇団の主宰というのは、こんなにも苦労をするものかと、散々に思いましたが、
その度に、父親の言葉を思い出し、ああ、そりゃあそうかと納得しながら芝居を作りました。

『あんたは花が好きね』
うちのお母さんは、最近家に帰るたびに、必ずこう言います。

え?そうか?そんなに花好きか俺?
といつも思うのですが、確かに、25歳を過ぎた辺りから、花に興味を持つようになりました。

前述したように、うちの団子屋は、お父さんが経営に回ってから、
内装が随分と変わり、店内に、季節の花が飾られるようになったのです。
まあ、確かに見る。それに、綺麗だね。という。名前はわからないけど。
歳をとって、花が好きになってきました。

これは、変化しようと思って変えたことではありません。
自然と変わっていったことです。

演劇は季節の花だと思っています。
ほんの一時しか咲かないで、すぐに散ってしまうけど、見た人に綺麗だったと言って欲しい。
あやめ十八番という名前は、ぼくの無意識がつけさせた名前かもしれません。

28年も息子をやっていても、教わることは沢山あります。
演劇に出会って、13年・・・くらいかな。まだまだ色々なことを勉強しなくてはなりません。

父親が教えてくれた、『変化していくこと』と、
母親が教えてくれた、『自然と変わっていくこと』を頭の片隅に置きながら、
あやめ十八番、精進を重ねていきたいと思います。

皆様方と、また劇場でお会いすることが出来れば、こんなに嬉しいことはありません。
頑張りますから、どうか見守っていてあげてください。

それでは、また。

僕たちは自在だ。
何にだってなれる。
そう信じています。

あやめ十八番・主宰 堀越涼

また、終演に伴い、「ギャラリー」ページ内「淡仙女」に公演写真とアフターライブの模様を、更新致しました。

今後とも御贔屓に。